こんにちは、朝ドラみ隊です。
語らないことで、心情を想像させる……。視聴した後の余韻がまだ抜けません。
【虎に翼】第27週3話あらすじ
判決の日。事務所を訪れた寅子に、美位子は自分の胸の内を打ち明ける。
「償いをしたい」と。しかし寅子はそれはいけないときっぱり美位子に伝える。
場所を変え、法廷。尊属殺人の合憲判定から23年。桂場が下した決断とは――
判決の日を迎えて。
判決当日。山田轟法律相談事務所では、よねと轟が出発の準備をしていました。
事務所には美位子だけでなく、轟の恋人・遠藤も来ています。
(遠藤)この目で見届けたいな~! 太一君がこの大きな裁判で勝つところ!
轟たちが勝つと信じて疑わない遠藤。しかし轟もよねも、表情は張り詰めたままです。
(よね)勝てると決まったわけじゃないぞ
轟はどちらの言葉にも答えません。
そして轟とよねが同時に茶を飲んだ時、事務所に来客が現れたのです。
美位子の迷い。勝って、釈放されることが本当に正しいのか
事務所の戸を開けたのは寅子でした。
息を切らし、階段を降りて来る寅子。
(寅子)応援していると、どうしても伝えたくて!
よねは寅子に言葉を返すことはなく、「時間だ」と言って立ち去ってしまいます。
轟と遠藤も同時に出発し、事務所の中には寅子と美位子の2人だけ。
(美位子)……ねえ、トラちゃんさん。もし勝てたらどうなるんですか?
(寅子)原判決が破棄されれば、恐らく執行猶予がついて、あなたはすぐ社会に戻ることができる
美位子を安心させるべく、寅子は小さく笑顔を浮かべながら答えます。
ところが、美位子の表情は暗いまま。
(美位子)でも、それっていいんでしょうか
(寅子)えっ?
(美位子)私、人を殺したんですよ?
相手が死してなお、美位子の内に残るトラウマ
(美位子)私、あの時…… ひもで締め上げた感覚が、今でも手に残ってるんです……
涙をこらえるべく、顔を歪ませながら苦しみを吐露する美位子。
(美位子)毎晩毎晩夢に見て…… 服役したほうが楽なんじゃないかって、ずっと考えて……
涙ながらに語る美位子の下へ、寅子はそっと近寄ります。
(寅子)……何かしらの罪を償いたいと思うことは、あなたの尊厳を全て奪って、何度もあなたの心を殺してきた相手を肯定してしまいかねない。あなたができることは、生きて、出来る限りの幸せを感じ続けることよ
美位子は下を向いたまま、ただ静かに涙を流していました。
判決の時。
同日、同時刻。
開廷された法廷にて、桂場が判決文を読み上げます。
(桂場)主文。原判決を破棄する。被告人を懲役2年6月に処する。この裁判確定の日から3年間、右刑の執行を猶予する――
ほとんど理想に近い判決に、轟とよねは喜びより先に驚きを顔に浮かべます。
桂場はそのまま、淡々と判決理由を読み上げていきます。
尊属殺は普通殺に比べ、著しく差別的で、憲法14条に違反している。
今回の見解に反する従来の判例は変更となる。
昭和25年の合憲判決から23年。長い歴史が塗り替わった瞬間でした。
(桂場)以上、閉廷します
その後、自分の机に戻り、板チョコを口に放る桂場。
彼はこの判決の翌月、定年を理由に最高裁長官を辞任。長い裁判官人生に幕を下ろすのでした。
美雪は美雪
この日の判決は夕刊で大々的に報じられることになります。
『”尊属殺人は憲法違反”』『2対13が14対1に』『最高裁が画期的判断』
最高の勝利をつまみに、轟たちは事務所で宴会の真っ最中。
(轟)時雄さんが傍聴券をとれずに運を貯めてくれたおかげだな!
(遠藤)それ言わないでよ、2人の雄姿が見られなかったことをがっかりしてるんだから
(轟)ハハハ、すまんすまん
今日の判決は、今まで合憲とされてきたものをひっくり返す画期的なものでした。
一連の事件を轟の隣で見てきた遠藤は、つい、本音を吐露してしまいます。
(遠藤)……僕たちの関係が法的に認められるような今日みたいな瞬間を、生きてる間に迎えられたらいいな
(轟)そのために、出来る事は続けよう。俺達が駄目でも、次の世代のために
遠藤の肩に手を置き、一言一言話す轟。
その姿は非常に頼もしく見えるのでした。
誰にも奪われない、自分のためだけの人生を踏み出す美位子
轟と遠藤の会話がひと段落ついたのを見計らい、美位子は再度の感謝を伝えます。
(美位子)改めて、よねさん、轟さん。本当にありがとうございました。……先生たちに巡り合えてよかった
(よね)お前の母親にも電話で伝えておいた。伝言だ。『子供たちは必ず立派に育てるから、美位子は新しい人生を生きてくれ』
美位子は言葉が見つからず、思わず視線を下に落とします。
彼女の視線を留めたのは、轟のかけた言葉でした。
(轟)美位子の人生は、ここから始まるんだ!
よねも美位子の肩に手を置き、力を込めて言います。
(よね)もう誰にも奪われるな。お前が全部、決めるんだ
立場は違えど、目指すものは同じ
尊属殺に違憲判決が出てから少しあと。
法制審議会での少年法改正に関する審議はまだまだ続いています。
寅子は折れず、諦めず、行政の人々に語り掛けています。
(寅子)家裁には家庭からも、社会からも、学校からも弾き出された子たちがたくさんやってきます
自分たちが、行き場のない子供たちを守る。
寅子は家庭裁判所が如何に「愛の裁判所」であるかを熱弁します。
しかし、相手方の反応は芳しくありません。このままいつも通り、平行線の議論が続く。
誰もがそう思った時、寅子は笑顔で言いました。
(寅子)な~んて言い争うのも、最早違うと思いませんか?
事の発端となった学生運動は下火になり、改革を推し進めていた首相、法務大臣も変わっています。
それでも議論が続いているのは、皆が子供の健全な育成を目指しているから。
(寅子)なら不毛な事は一旦やめて、今日は愛について語り合いませんか?
さようなら。またいつか。
帰宅した寅子は、これから誠也の個展準備の手伝いに行くというのどかと入れ違いになります。
のどかを送り出し、リビングに目をやるとそこには優未と美位子の姿が。
(寅子)えっと…… 2人は?
(美位子)笹竹のお手伝いをしているときに仲良くなって
(優未)今日はね、どか姉ちゃんと私の洋服、好きなものを持ってってもらおうと思って……
美位子は来週、新潟に引っ越すことに決めたのだと言います。
勤務先はよねの紹介らしく、寅子はすぐにライトハウスのことだと気づきます。
笑顔で美位子の新たな門出を応援する寅子と優未。
2人を見て、美位子の口から本音がこぼれます。
(美位子)人生に失敗したことがない人たちは、カッコいいなぁ……
そんなことはないと否定する優未。話を振られた寅子は、ワンテンポ遅れて返事を返します。
(寅子)……美位子さんも優未も、人生を失敗なんてしていない。
それでも『人生失敗』と思ってしまうなら、他人のせいにすればいい。
2人にはその権利があるのだと、いつも以上に強く語る寅子。
その言葉に勇気を貰い、美位子は新潟へと旅立ちます。
(美位子)……じゃあ
(寅子)ええ。美位子さんもお元気で
(美位子)トラちゃんさんも。さよなら
(寅子)また、いつかどこかで
その時、寅子の様子がおかしいことに、優未だけが気付いていました。

現在の裁判所事情
演出や台詞の1つ1つから過去の放送を思い出して、呻いてしまう今日の放送。
今回は演出に込められた各キャラクターの心情をいくつかピックアップして考察していきます。
1.美位子が寅子に本音を吐露した理由
この件、最初は寅子がちょうどよい距離感にいる法の知識を持つ人だからだと考えていましたが、それだけではないような気がしています。
具体的には、よねと轟への信頼が影響しているんじゃないかと。
美位子からすれば、自分の勝訴のために戦ってくれている2人に「本当は服役したほうがいいのかも」なんて到底言える事ではありません。
そこで、寅子に白羽の矢が立ったのではないでしょうか。
実際、人を殺めた罪悪感を抱く美位子に対し寅子は「罪を償いたいと思うということは、今まで受けてきた苦しみを肯定すること」と、厳しい言葉を返します。
自由に生きる事こそ、自分が出来る事。寅子に背中を押されたのもあって、美位子はライトハウスへと向かったのではないでしょうか。
2.桂場さんのチョコレート
「なんで団子じゃないんだ!」とは私も感じました。
あさイチでも言及されていましたが、「チョコレートなのは花岡の絵の件があるから」という考えは非常にしっくりくるものでした!
団子を食べる桂場さんは、ここまでほぼコミカルや息抜きの場面で登場しています。息抜きになるのは桂場さん本人もそうですが、視聴者のガス抜きの役目も果たしていそうです。
対して花岡の件以降、チョコレートの絵は度々カットで映っています。
そういえば多岐川さんは「花岡は大バカ者」だと言っていましたね。(詳しくはこちら)
その後絵を飾るときに、多岐川さんの考えが明らかにされます。(詳しくはこちら)
チョコレートは苦い記憶の象徴でもありそうです。
そのおかげで、桂場の定年退職のシーンだというのに、どこかほろ苦い印象になっていました。
最後に、花岡の絵に描かれたチョコレートをご紹介します。
こちらのチョコは恐らく、第二次世界大戦中のアメリカ軍の配給用チョコレートバー(通称:Dレーション)だと思われます。
Wikipediaに掲載されている画像の中には、ドラマに出てきたものとそっくりなものも存在します!(詳しくはこちら)
現在は販売されていないようですが、Dレーションを実食した方の記事がありましたので、そちらをご紹介いたします。このチョコレート、割るのに物凄く力が必要なんだとか。市販品と比べてカロリー重視に開発されているので、ひとかけらでお腹いっぱいに感じるそうです!
詳しくはこちら👇

明日は寅子と優未の話の様子。
新潟での経験を経て、親子として関係を深めた2人。
物語の最後にどのような話が繰り広げられるのか、非常に楽しみです。
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ネットの反応
親子の関係が良好であるに越したことはないけれど、それが叶わなかった時に「あるべき家族の絆」にとらわれる事なくそれぞれが幸せになる道を歩め、と寅子は主張しているので1番最後に自分と娘との関係がどう描かれるのか楽しみ。