こんにちは、朝ドラみ隊です。
美佐江・美雪編はこれにて完結。寅子の導き出した答えにはグッとくるものがありました。
【虎に翼】第27週2話あらすじ
再補導された美雪と、面談前に会うことになった寅子。
そこで寅子はかつて美佐江にされた質問を投げかけられる。
『何故人を殺してはいけないのか。』裁判官として、数々の問題に向き合ってきた寅子の出す結論とは――
今、再びの質問
1人、部屋の中にたたずむ美雪。
室内にノックの音が響き、音羽と寅子が入ってきます。
(音羽)面接の前にご挨拶をしたいそうです
(寅子)こんにちは。美雪さん
互いに挨拶を交わし、寅子はさっそく本題を切り出します。
(寅子)あなたは今、友達に売春をさせ、かつ金品を窃盗させた疑いをもたれていて、また音羽さんの調査を受けてもらうことになります
すると美雪は、笑顔で、気楽そうに言いました。
(美雪)調査なんていりません。ぜ~んぶ私がやりました
驚くほどあっさり自らの罪を認めた美雪。
彼女は寅子の問いに答えたかわりに、次は自分が質問をさせて欲しいと言います。
(美雪)先生は、どうしてだと思います? どうして人を殺しちゃいけないのか
「どうして人を殺しちゃいけないのか」
(美雪)どうして人を殺しちゃいけないのか
美雪はあまりにも迷いなく、美佐江と同じ問いを寅子にぶつけます。
どうやらその問いは祖母や誰かから聞いたわけではなく、美雪が自ら感じたもののようでした。
寅子の無言から、美雪はかつて母が同じ悩みを持っていたことを察します。
(美雪)そうなんだ…… お母さんも同じことを……
どこか嬉しそうな美雪。
寅子は一言一句はっきりと発音しながら、美雪の問いに答え始めます。
寅子なりの「人を殺してはいけない」理由
(寅子)……奪われた命は元に戻せない。語ることも、触れ合うことも、何かを共有することも永久に出来ない。
だから人は、本能で「誰かを殺してはいけない」と理解している。
自分なりの答えを伝える寅子。隊士て美雪は、小さく笑っています。
(美雪)そんな乱暴な答えで、母が納得しますかね?
(寅子)美雪さん、私は今あなたの質問に答えています。 ……私の話を聞いて、あなたはどう思った?
美雪は自らの答えと言わんばかりに、懐からナイフを取り出したのでした。
『美佐江はどこにでもいる、普通の女の子だった』
ナイフを抜き、寅子ににじり寄る美雪。
(美雪)……母の手帳をご覧になったんでしょう? 私も母も、他の子たちとは違う。異質で特別で、手に負えない……
(寅子)逆。
寅子はきっぱりと言います。
(寅子)あなたもお母さんも確かに特別。でもそれは、すべての子供たちに言えること。あなたたちは異質でも手に負えない子でもない
その気づきは、美佐江の手帳を読んでいたときに気付いたものでした。
(寅子)私は美佐江さんを、恐ろしい存在だと思ってしまった。そのことが過ちだった。美佐江さんは、とても頭がよかったけれど、どこにでもいる普通の女の子だったと思う
(美雪)どこにでもいる女の子が人を支配して操ろうと思いますか?
しかし、その真実はもう分からないのです。
何故なら美佐江は、死んでしまったから。
美雪は美雪
寅子と美佐江・美雪はあくまでも裁判官と少女の関係であり、必要以上に踏み込む必要はない。
そう思って線を引いた結果が美佐江の死であり、美雪の現在につながってしまった。
(寅子)だからね美雪さん。私、もうこんなこと繰り返したくない。諦めたくないの
美雪の手を握り、寅子は切に訴えます。
(寅子)手帳に残された言葉の意味や、お母さんを庇おうとして傷を負わなくていい。親にとらわれ、縛られ続ける必要はないの。どんなあなたでいたいか、考えて教えて欲しいの
美雪はその問いに答えることなく、ナイフを投げ捨てて出て行ってしまいました。
美雪の本音
その後、美雪に民間施設での保護観察の処分が下されてから半年。
美雪の素行に問題が見られなくなったことを理由に、美雪の審判が行われることになりました。
(寅子)施設での暮らしはどうですか?
(美雪)居心地はいいです。先生の差し入れをみんな喜んでました……
少し言葉に迷ったのち、美雪は寅子に尋ねます。
(美雪)先生、私……まだあの施設にいてもいいですか?
予想外の質問に驚く音羽。対して寅子は「続けて」と静かに続きを促します。
(美雪)……おばあちゃん、私といると心が休まないと思うんです。お母さんを思い出し続けるのも可哀そうです。 ……だから、一緒にいない方がいいのかなって
(寅子)それで、あなたの本心は? あなたはどうしたいの?
言葉につまる美雪。代わりに答えたのは、祖母・佐江子でした。
(佐江子)……おばあちゃんは早く一緒に暮らしたい
美佐江とよく似た美雪のことを恐ろしく思っていたのは事実。
しかし、施設での面会を重ね、佐江子は美雪と会う事がどんどん楽しみになっていったのです。
互いに抱き合い、涙を流す2人。
寅子は美雪に、再び不処分の審判を下すのでした。
寅子と音羽。家庭裁判所の良いバディ
その後、寅子と音羽が2人でお茶を飲んでいた時のこと。
音羽がぽつりと言いました。
(音羽)美雪さん、また犯罪を繰り返すと思いますか?
(寅子)そうならないことを願っているし、きっと更生してくれるわ。でも、駄目な時はその時
寅子は「愛の裁判所」の方針は正しいと、今回の件で改めて感じています。
しかし、音羽の言う通り、変わらなければならない時が来たのだと感じてもいました。
(寅子)個人の力頼みじゃなくて組織の構造を変えて、人手を増やさないといけないのも確かだと思うわ。私たちみたいに『仕事に人生の全てを捧げろ』と強制するのも、何だか違うしね
寅子たち世代の責任として、人手を増やすよう訴えかける。
だから後のことは音羽たちが決めればよい。
穏やかに伝える寅子に、音羽は自分の考えを口にします。
(音羽)……もっと効率よく、子供たちに寄り添えるやり方があるはず。それを私なりに見つけていきますので
(寅子)素敵! どんなやり方が思いついたか、また教えてね

現在の裁判所事情
個人的に密かにお気に入りだった音羽さん。
最後に照れてお茶をこぼした姿がとてもかわいかったです。
さて、放送回数は残り3回。
『人手を増やさなければならない』と結論を出した寅子。
その先の未来(現代)で裁判所がどのような現状を迎えているかを見ていきたいと思います。
裁判所 21世紀の司法制度を考えるというページに、裁判所の苦労が詳細に描かれています。
寅子や多岐川さんたちが家庭裁判所を開き、その在り方を守った時期。(詳しくはこちら)
この後、昭和60年以降、寅子たち裁判所側と行政の意見が一致し、様々な改革がなされていきます。その背景にはさらなる事件の増加などがあったようです。
平成3年には、裁判官全体の数を増やすため司法試験制度の改正も行われましたが、現代でも人員不足が解決したわけではない様子。(詳しくはこちら)
日本弁護士連合会の資料には、現代の裁判官の多忙さが記されています。(リンクはこちら)
まだ理想とは程遠いようですが、それでも日々改革は続いているのですね。
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ネットの反応
何か理由があるから誰にどう思われているから特別になるのではなく、誰しも最初からひとりひとり特別。言葉にしてみれば簡単でも実感するのは難しいこのことを根気よく説き、待つのはよい結果ばかりとも限らない。そして寄り添う側もずっと削られ続ける。まさに激務だよね。「愛の家庭裁判所」