こんにちは、朝ドラみ隊です。
週のタイトルは【虎に翼】。寅子の集大成を見守っていきたいと思います
【虎に翼】第27週1話あらすじ
再補導された美雪を助けられるのは、寅子しかいない。
寅子は今一度、蓋をしてきた美佐江との記憶と向き合うことに。
そしてようやく始まった美位子の裁判。道徳・司法・そして憲法。違憲判決を勝ち取るため、よねたちの戦いが幕を開ける――
美佐江の手帳。母の後悔
美佐江の母から渡された美佐江の手帳。
その中に綴られた美佐江の秘めた想い。そして、迷い。
あの人を拒まなければ何か変わったのか あの人は私を特別にしてくれたのだろうか
寅子の目には涙がうっすら浮かび、言葉を口にすることも出来ません。
佐江子が家庭裁判所を訪れたのは、つい昨日美雪が補導されたからだといいます。
(佐江子)こんなお願いを佐田さんにするのは間違っていると分かっています。でも美雪に、このまま娘をなぞってほしくない。どうか…… どうか……
懇願する佐江子に寅子ができたことは、どうにか手帳を返すことだけでした。
魔法の言葉「ちちんぷいぷい」
夜、航一と2人で晩酌をする寅子。
航一はグラスを口元から下ろし、静かに言います。
(航一)寅子さんの独り言を……盗み聞きするつもりはないよ
その言葉を聞き、寅子はぽつりぽつりと独り言を話し始めます。
(寅子)例の子、やっぱり美佐江さんの娘だった。……蓋をしてきたものと向き合うのは、苦しいわね
寅子の言葉を聞きながらゆっくり立ち上がる航一。
彼は寅子の向かいに立つと、人差し指を寅子に向けます。
(航一)ちちんぷいぷい~! ……今、寅子さんが強い意志…… 強い いっ ……意思~……!
最後まで言い切る前に、航一は恥ずかしさで崩れ落ちてしまいました。
寅子のために無茶と無理をしてみせた航一。
その心が嬉しくて、寅子の表情も明るくなります。
するとそこへ、誰かの足音が聞こえてきました。
(朋一)あの~……
朋一が見つけた新たな道
声の主は朋一。どうやら寅子たちに用事があって家を訪れたようです。
(朋一)あっ、夜遅くごめん。盗み聞きするつもりではなかったんだけど ちちんぷいぷいが聞こえて……入りづらくて……
(航一)ああああ~~……
がっくりとうなだれる航一と、航一を慰める寅子。
朋一は空いている椅子に腰かけ、本題を話始めます。
(朋一)電話じゃなくて、直接2人に言いたくてさ。……考えた結果、僕、家具職人になることにしました
子供・朋成を育てるためにはお金がいる。しかし、法律とは距離を置きたい。
そう考えていた朋一は自分の手先が器用だったことを思い出し、家具職人を目指すことにしたのだと言います。
修行のため朋一は明日から岐阜に旅立ちます。
その前に朋一は、どうしてもこのことを寅子たちに直接言いたかったのです。
航一は朋一の目を見て、尋ねます。
(航一)思いついた時、法律を学んだ時と同じくらい胸が熱くなったか?
(朋一)……なった
(航一)じゃあ、楽しんでおいで
息子の新たな旅立ちを祝福し、お酒の準備を始める航一。
その顔には、満面の笑みが浮かんでいました。
弁護側の主張
昭和47年、5月。遂に開廷された大法廷。
緊張が張り詰める中、よねは前に出て、弁護側の主張を開始します。
(よね)論点は誰の目から見ても分かりきっていますので、回りくどい前置きはしません。……尊属殺の重罰規定は、明らかな憲法違反です
弁論当日を迎えるまで、よねはずっと事務所の壁に書かれた新憲法と向き合ってきました。
そしてそのたびに、「今、この憲法に見合った世の中になっているか」。
何度も何度も、考えてきました。
(よね)昭和25年に言い渡された 刑法第200条の最高裁合憲判決。その基本的な理由となるのは人類普遍の道徳原理………… はて?
今回の事件で道徳を踏みにじったのは誰か。
尊属である父を殺した美位子なのか。
家族に暴力をふるい、娘を強姦・妊娠させ、娘の結婚を阻止するために監禁した美位子の父なのか。
(よね)暴力行為だけでも度し難いのに、背徳行為を重ね、畜生道に落ちた父親でも彼を尊属として保護し、服従と従順な女体であることを要求されるのでしょうか?
そこまで話したよねは、言葉を区切り、語気を強めます。
(よね)それが人類普遍の道徳原理ならば、この社会と我々も畜生道に落ちたと言わざるを得ない。……いや、畜生以下…… クソだ!
(桂場)……弁護人は言動に気を付けるように
(轟)不適切な発言でした。おわびいたします
轟は即座に立ち上がり、裁判官に謝罪を述べた後、小声で言います。
(轟)いけ、山田!
尊属殺が認められるなら、憲法も、司法も、社会も、すべて無力である
(よね)憲法第14条は「すべての国民が平等である」とし、第13条には「すべての国民は個人として尊重される」とある……
今回の事件は、美位子が憲法に明記されている権利を取り戻そうとした際に起きたこと。
これは十分正当防衛にあたるとよねは主張します。
(よね)もし、今なお尊属殺の重罰規定が憲法第14条に違反しないものだとするならば……
一呼吸置き、再び語りだすよね。
その唇はかすかにふるえていました。
(よね)無力な憲法を 無力な司法を 無力なこの社会を、嘆かざるをえない。 ……著しく正義に反した原判決は、破棄されるべきです
美雪、再逮捕
同時刻、家庭裁判所。
寅子の元に、美雪が再度補導されたという報せが舞い込んできます。
今回の容疑は、窃盗教唆。そして売春防止法違反。
奇しくもそれは、かつて美佐江が補導された内容と同じものでした。

「特別な何か」とは他人とのかかわりで生まれるもの?
ちちんぷいぷい~!
咄嗟にこの言葉が出てくるあたり、航一さんはこの言葉に本当に支えられてきたのですね。
さて、2つの親子の対比が残酷なまでの放送回でした。
一見すると、航一・朋一は非常に仲の良い親子で、美佐江・美雪はよくない部分だけが受け継がれているように見えます。また今回は登場しませんでしたが、寅子・優未も非常に仲のよい親子です。
美佐江は手帳に「身籠れば特別な何かになれるかと期待したが、無駄だった」と書き残しています。
では、航一や寅子は子を持ったから特別な存在になったのでしょうか?
恐らくそんなことはありません。特に航一は戦争の件以降、抜け殻のようでした。
ですが、そんな航一も「子供を育てる」という目的のためだけに、なんとか生きていました。
それは航一にとって、朋一やのどかが大切で、特別だったからなのではないでしょうか?
身籠れば特別な何かになれるのではなく、身籠ると自分よりも特別(大切)な存在が出来る。
美佐江は手帳に「愛してあげられなくてごめん」と書き残しています。
この時点で、美佐江は美雪のことを特別な存在だと思えていたのではないでしょうか?
ですが、幼い頃から感じていた「特別でない存在に価値はない」という認識に耐えられなかった。
1人残された美雪が、寅子とのかかわりでどんな道を歩むのか。
それが、あの時優未を抱き寄せてしまった寅子の後悔を少しでも軽くしてくれるよう、願ってやみません。
そしてなんといっても今日はよねさんがかっこよかった!
あの弁論は、実際に行われたものがほぼそのまま使用されているようです。
当時尊属殺の弁護人を担当された方の記事を見つけましたので、ぜひご覧ください!

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ネットの反応
寅子はこの後悔をどう落とし前つけるのか。怒り慣れていない人が怒るとどうなるかの模範解答のような航一さんには癒された