国内リーグ2位と定位置ともいえる優勝圏内のマドリーに対し、ほぼその夢はついえたマン・シティのCL準決勝1stレグ。マドリーは3トップにヴィシニウス、ベンゼマ、イスコ。シティはベルナルド、ジェズス、マフレズ(Dシルバ、アグエロ、コウチーニョはベンチスタート)。少なくとも国内リーグの調子はマドリーが上。しかし自国での調子が結果に出ないのもチャンピオンズリーグ。落ち着いた試合にはならなそうで、カウンターに弱いとされるマドリーがデブライネからのそれをどう防ぐかが鍵となると予想する。
おそるべきヴィシニウスと天才デブライネが躍動。
前半はシティの3トップがよく前プレをかける。おそらくベンチメンバー(アグエロ、シルバ)ではできないだろう運動量で、これがペップ作戦であることは明らか。そのため全体が間延びするシティだが、これをペップはすぐさま修正。それにより試合は結局膠着状態に陥る。
しかしシティがいくらプレスをかけても、ヴィシニウスの状態はかなりよさそうで、彼がサイドでボールを持てば止まらない雰囲気。頼みのカウンターもマドリーは中盤が汗をかきしっかりと封殺。この時点でチームの優劣ははっきりとマドリーについている。シティはボールを持ってもサイドのマフレズやメンディに展開力がなく、雰囲気はまるでない。(しかしメンディは大丈夫なのだろうか。まったくペップらしくない選手!)
しかし前半20分、最初のチャンスを作ったのはシティ。メンディの緩慢なプレーに安心した(?)マドリーの守備が一瞬緩慢になったところをデブライネがロングスルーパス。左サイドから流れたジェズスが完全に1対1になるが、平凡なシュートでクルトワのビッグセーブを誘う。対するマドリーはヴィシニウスの豪快なダイビング空振りで得点機を逃す。
脳裏に浮かぶシティサポの声。余裕のマドリー。
後半、ボールを支配するマドリーだが、深い位置で平凡なパスミスをデブライネに経由され大カウンター。デブライネ速い! とんでもないスピードのドリブルからマフレズに渡すがこれをシュートミス。もう全部デブライネにボール返せよと言うシティサポの恨み節が脳裏に浮かぶ。その後マフレズはギュンドアンからのロブスルーから今度はうまくミートするがこれはクルトワのビッグセーブに阻まれる。 ここでゴールのにおいがするのはレアルはヴィシニウス、シティは一応マフレズ。
そして最初のゴールは59分。シティの平凡なパス交換にモドリッチのプレスがはまり、ヴィシニウスがペネトレイト。最後は眠っていたイスコにゴールをおぜん立てして先制点をゲットする。その後マドリーは絶好調のヴィシニウスを下げてベイルを入れる余裕の采配。
残り時間はここで残り30分。しかしシティは以降、まったくデブライネを生かせない。たちの悪いサポーターなら「デブライネを生かせない」と大合唱しそうなほど生かせない。彼の「それくらいはトラップしてよギュンドアン」、「それくらいはきちんとつけてよマフレズ」という言葉が脳から漏れ始めている。とにかくシティにはチームに一体感がない。
咆哮するCLの魔物。試合は最終局面へ。
しかし77分、後半途中から入ったスターリングが切り込んでできた小さなスペースにデブライネが足元で受けてドライブ。これで混乱をきたしたマドリーはジェズスにヘッドで先制を許す。ジェズスはなにげにSラモスから空中戦で完全勝利。ひそやかなアメイジングゴール! さらに82分にスターリングがPKを獲得し、受け継いだデブライネが今季CL初ゴール。マドリーはマドリーらしいツメの甘さで逆転を許す。ベルナベウのサポーターは沈黙する。
そしてここから誰も予測できないCLのドラマが。SラモスがジェズスをDOGSO(得点機会阻止)で一発レッド。当然Sラモスは次節の出場停止。得意の空中戦で小さなジェズスにしてやられたことを脳裏を掠めたか……? 結局このままタイムアップ。シティは1-2という最高の形でホームに帰ることになる。
しかし心配なのはベイル。92分にカイル・ウォーカーとのスプリント勝負で完敗してしまう。彼のストロングを考えればこの負けは致命的。ヴィシニウスとの比較もあるし、ベイル否定派の声はたさららに高くなる……そして気迫も愚直さも感じられない。あるいはある種の決断を迫られてもおかしくないワンプレーであった。
絶好調のヴィシニウスを生かしきれなかったマドリーは、2点のアウェイゴールを抱えてることに。しかしシティは盤石でない。物語は混沌を抱えたままエティハドへと続く。
(アイキャッチ画像は https://www.uefa.com/uefachampionsleague/ より)