【サッカー書評】「日本人が監督を正しく評価できれば、日本サッカーは強くなる」フットボール批評03を批評してみる。【サッカー大考察】

フットボール批評issue03 [雑誌] Kindle版 書評

結局アギーレって何だったの……。

アギーレが解任されたのは2015年2月3日。「フットボール批評issue03」が描く解任前夜は刑事コロンボ。僕らは犯人が誰かを知っている。

本誌タイトルが「監督失格」だから当時のアギーレの評判も推して知るべしといったところ。

とはいえ単純な代表解任論だけではつまらない。フットボール批評は自分たちの知る監督の評価軸そのものについて提言する。日本人が監督を正しく評価できれば、日本サッカーは強くなるというわけだろう。

巻頭特集では西部謙司がアギーレの未来を予言。

裁判でクロならクビにできる。だけどグレーな人材が監督をするのはスポンサーが黙ってない。それをお金持ちの経営陣とフリーランス監督のせめぎあいと読み取ってもおもしろい。

そして小澤一郎はキッパリとアギーレ騒動に関する報道に「やりすぎだ」と警鐘を鳴らし、ふがいないイメージのアギーレを公平に論じている。

「2軍でシンガポールまで出向いてブラジルに負ける」ことってそれアギーレのせいなの?なんとなくそんな風にも聞こえてくる。

じゃあそれって誰のせいなんだろう?

もしかしたらフットボール批評が言いたいことってそういうことなのかもしれない。

誌面はやがてアギーレ論を離れ、さまざまな名将にフォーカスする。鳥栖で奇跡的な電撃解雇されたユン・ジョンファン(2020はジェフ千葉の監督!)、甲府で38歳の盛田をFWとして無双させた城福浩、「エキセントリック監督」ファンハール、アンチェロッティ。

特にアンチェロッティとエスプリを交えて語り合うクリスティアーノ・ルイウは日本にはないジャーナリスト像を感じさせる。

そして風間八宏、ゼーマン、ポポビッチ。山口素弘のインタビューで彼が「トータルフットボール」という言葉を出したとたんに森編集長が割り行ったのには何か理由があるんだろうか……?

個人的に興味深いのが海江田哲郎の一文。

2014年の監督交代に焦点をあてたコンテンツだけど、昭和的「テキトー」文体の中に優しく毒舌を編んでいくスタイルが興味深い。

いわば日本人的エスプリ文。軽妙なのに味があるし、取材に基づいたオリジナル要素も入ってる。もしてミもフタもない監督論まとめ。それを言っちゃあおしまいですよ……。

それにしてもガンバで話題を振りまいた「その後の」セホーンインタビューには驚いた。そして名前をなぜか「ジョゼ・カルロス・セホーン」と表記したのかどうしても気になる。確かに声に出して読みたい名前だけども。セホーン

……ちなみに次号予告はアジアカップ(仮)となっていた。そのころ、アギーレは。

(新井一二三)


↓関連動画は次のページから!

タイトルとURLをコピーしました