こんにちは!
今回は4/5(金)に金曜ロードショーにて地上波初放送された新海誠監督の最新作【すずめの戸締り】をふりかえっていきたいと思います!
新海誠監督が「いま作らないと手遅れになってしまう」との思いで制作した本作。最終興行収入は147億円を超え、当時の歴代興収ランキングでは崖の上のポニョに次ぐ14位という、素晴らしい売り上げを叩き出しています!
そんな超大ヒット作である今作のあらすじをふりかえることで、新海誠監督が伝えたかったことを、もう一度感じることが出来たらと思います。

あらすじ
美しい空の下、少女と女性が会合する夢を見た17歳の少女岩戸鈴芽(いわと すずめ)は、登校中に廃墟を探す青年と出会う。登校直前になって、どうしても青年のことが気になった鈴芽は彼を探しに廃温泉街の最奥まで向かうが、見つけることができなかった。
その日の昼、漠然とした不安を感じたままの鈴芽が窓の外に見たのは、赤黒い煙。自分以外には見えていない”それ”が嫌なものであると確信した鈴芽は、学校を飛び出した。
廃温泉街の最奥。中庭のような空間に佇む古びた扉から、煙は噴き出していた。その傍で扉を閉めようとしている人物は、今朝会ったあの青年だ。その時、スマホが緊急地震速報を受信し、同時に鈴芽の頭上から崩れた瓦礫が降ってくる。そのことに気づいた青年は鈴芽を庇い、腕を負傷してしまう。しかし彼はそのまま扉を押さえつけ、「お返し申す」の言葉と共に、扉に鍵をかけた。
扉が静まった後、鈴芽は青年の怪我を手当するため、自宅に招き入れる。青年は鈴芽の矢継ぎ早の質問に答えていく。彼の名は宗像草太(むなかた そうた)と言い、地震を起こすミミズと呼ばれる存在が出てこないように、後ろ戸と呼ばれる扉を閉じて回っている閉じ師らしい。
今回の扉には、ミミズが出てこないように要石が置かれていたはずだが、何故かそれは抜けてしまっていたらしい。鈴芽の脳裏をよぎったのは、草太と出会う前に扉の傍で見つけ、拾った途端に動物となって逃げていった置物。
そんな話をしていると、いつの間にか窓の外に随分と痩せこけた猫がいた。鈴芽が猫に言葉をかけると、猫は見る間にふっくら毛並みも整っていき、そのまま言葉を話し始めたではないか。驚いている間に、猫に敵意を向けられた草太は、鈴芽が大事にしていた椅子へ魂を閉じ込められてしまう。
逃げる猫を追いかける、椅子の姿になった草太。鈴芽も後に続こうとするが、それを引き留めたのは同居している叔母の環(たまき)。しかし鈴芽はその手を振りほどき、街へ飛び出す。あれよという間に鈴芽は船に乗ってしまい、意図せず九州を後にすることとなった。
船の中、行先が愛媛であることを確認した鈴芽と草太はひとまずの眠りにつく。その晩、鈴芽は幼い頃、母親を探して彷徨う夢を見る。来る日も来る日も母親が見つからず、夢の中の日記は真っ黒に塗りつぶされていた。
朝になり、愛媛に到着した草太は1人でダイジンを探しに行こうとするが、鈴芽にたしなめられ、2人で捜索をすることに。ダイジンの行動はSNSで拡散されており、それを頼りに愛媛から神戸へと移動する。
神戸でようやくダイジンの姿を捉えるも、また逃げられてしまう。ダイジンが去り際に言った「要石の役目はお前に移した」という言葉のせいか、その晩、草太は自分が要石として死んでいく夢を見た。
次に訪れたのは、草太のアパートがある東京。そこで要石の所在について調べている最中、草太を心配して、彼の友人の芹澤朋也(せりざわ ともや)がアパートを訪れた。鈴芽に言伝を頼んで去る芹澤を見送る最中、鈴芽は巨大なミミズの姿を目撃する。西の要石だったダイジンが抜け、ほどなくして東の要石も抜けたのだ。
ふらりと姿を現したダイジンは、楽しそうに言う。
「今からたくさん、人が死ぬよ」
草太はその瞬間、全てを理解した。ダイジンに姿を変えられたあの時から、要石は自分なのだと。泣き叫ぶ鈴芽を優しく諭し、ミミズに自らを突き立てるよう頼む草太。要石の役目を果たした草太は、意識が凍り付いていく。草太だって、こんなところで人生を終わらせたくはなかった。
ミミズが弾け、水路に落ちた鈴芽が目を覚ましたのは巨大な後ろ戸の傍。遠くには、要石となった草太の姿も見える。しかし後ろ戸はあの世につながる扉。どれだけくぐっても、鈴芽が通ることは出来ない。
そんな中、やっと2人きりになれたと喜ぶダイジンに、鈴芽は力の限り怒りをぶつける。その言葉を聞いたダイジンは、見る見るうちに痩せこけ、どこかへ消えてしまった。
草太を助けたい鈴芽が頼ったのは、入院している草太の祖父。草太の元へ行く方法を教えてくれた彼は、窓辺に立っていたダイジンを見ると、鈴芽に着いていくように頼む。ダイジンは返事をすることもないまま、ひらりと窓辺から降りて行った。
人は生涯で1箇所だけ、後ろ戸を通ることが出来る。その扉からなら、草太の元へ行ける。草太の祖父から聞いた手がかりを頼りに東京までやってきた鈴芽は、そこで同じく草太を探す芹澤と、自分を連れ戻しに来た環と出会う。さらに後部座席には、姿を眩ませていたダイジンもいつの間にか乗っている。最悪の空気の中、鈴芽の後ろ戸探しは始まった。
急の悪天候のために立ち寄ったサービスエリアでは、環を操ってその本心を吐露させた、ダイジンによく似た黒猫のサダイジンも合流。途中、芹澤の車が壊れるハプニングもあったものの、ダイジンに導かれ、鈴芽はどうにか後ろ戸へと辿り着く。
「いってくる。好きな人のところへ!」
鈴芽が飛び込んだ後ろ戸の中は、まさに地獄の形相。炎燃え盛る大地をミミズが這い、周囲には”あの頃”の瓦礫が散乱していた。サダイジンが巨大化してミミズを足止めしている間に、鈴芽は草太の元へとひた走る。
要石を抜けばミミズが暴れだしてしまう。それなら、私が要石になる。
鈴芽の並々ならぬ覚悟を見届けたダイジンは、草太を助け出すと要石へと姿を変え、悲しそうな声で、鈴芽が自分を刺すように伝えた。鈴芽がダイジン、草太がサダイジンを握りしめ、ミミズへと突き刺す。
景色は一変。荒れ果てた世界は緑生い茂る世界へと変わり、そこに幼い日の鈴芽が迷い込んでくる。その姿を見た鈴芽は、幼い日の自分へ言葉をかけ、椅子を持たせて元の世界へと帰すのだった。
そして後ろ戸の中から2人は戻ってきた。残る後ろ戸を閉じてから帰るという草太に、鈴芽は必ず再会する約束を交わし、宮崎へと帰ることに。鈴芽と環は道中、鈴芽がお世話になった方々を巡り、お礼をしながら帰った。
そして冬。
いつものように登校していた鈴芽は、道の向こうから、愛しい人が歩いてくるのを見つける。ロングコートをたなびかせ、歩いてくるその人に、鈴芽は優しく声をかけるのだった。
「おかえり」と。
