フットボールの○○育成論 「イニエスタひとりで300億円の価値を生む」というバルセロナの育成論のはざまで考えるべきことは 

サッカーピックス 大考察

イニエスタひとりで300億の市場価値ならば、それだけでアカデミーは100年運営できる。 そんな話を聞いた事がある。なるほど、ビジネス的な観点からいえばバルサのアカデミーはすでに成功している。

世界中のネットワークで巨大なマスを作り、数百億円規模の価値を生む選手を輩出する。メッシ、シャビ、ブスケツ、プジョル……そしてペップ。

バルサのアカデミーでは毎年選手の入れ替えがある。生存競争がある。アカデミーに入れれば経済的負担はナシ。送迎に加え、学費の面倒も見るという。

副業コーチも査定される厳しい世界の中で。

しかしコーチには兼業のコーチもいる。日本でよく聞く、コーチの待遇問題はバルサでも同じということか。そして、コーチも査定される。たとえば意味もなく選手を罵倒すれば、即解雇につながるかもしれない。

だってバルサのアカデミーがスパルタクだとなれば、バルサの価値は急降下する。バルサのそれは、フットボール自体の価値にもつながる。これは少なくとも日本のあらゆるクラブでも同じのはず。

スペインの育成システムはバルサの育成システムではない。巨大なマスをもつ彼らだからできる育成で、例えばバルセロナキッズたちの動画をリツイートして、「だからスペインの育成は最高だ」などと放言するのは正気の沙汰ではない。

最高の組織の中でも、表現するのは「自分」。

ちなみに、カンテラ組織の選手が必ずしもその哲学を100%受け継いでいるかといえば、そうでもなさそうだ。バルサは両足でのボール扱いを教えるというが、シャビは両足を使わない。

結局のところ、毎年ふるい落としがされるという厳しいカンテラの掟をを経由する中で、選手は自分のスタイルがフットボールの世界で機能せしめることを、自分で証明しなければならない。それはエリートだろうが、金の卵だろうが、関係はない。

(新井文)

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