【脚本家の映画採点】#6 マン・オブ・スティール(すごすぎる主演。)

洋画

こんにちは、新井一二三です。

今回は2013年公開、監督:ザック・スナイダー、脚本:デヴィット・S・ゴイヤー、主演:ヘンリー・ガヴィル、のDCエクステッド・ユニバース第一弾、「マン・オブ・スティール」を採点します。

正直なところMCUの成功にあやかりたいこと見え見えの「DCエクステッド・ユニバース」第一弾として公開された「マン・オブ・スティール」。MCUがそうしたように、「過去のスーパーヒーロー」を現代の技術で映画化するをテーマとするならば、いかに「スーパーマン」を具現化するかがテーマ。少なくとも本作でそれは十二分に果たしていると言っていいと思う。

新時代のスーパーマン「ヘンリー・ガヴィル」

まず主演のヘンリー・ガヴィルの存在感がすばらしい。ともすれば「強い白人の象徴」になりかねないスーパーマンを、現代仕様の「無国籍風」として演じ切り、かつ世界一セクシーで世界一強くて世界一マッチョでとにかく世界一ジャスティス、という役回りも演じ切っている。CG云々よりも彼の存在そのものがこの作品を賞賛されるべき作品にした象徴といっていい。実際そうなれるかどうかはともかく、うまくすればMCUのロバート・ダウニーJR的存在になれる。つまり真の世界的スーパースターになれる、それだけの資質を感じるほどである。ちなみにアメリカ人以外がスーパーマンを演じたのは彼がはじめてとのこと(ヘンリーはつまり英国人)。

とにもかくにもヘンリー・ガヴィル

ただ、脚本としてみると少しずれているような気もする。王道的起承転結を貫いたことには交換がもてるし、その構想は参考になるところも多いが、どうしてもところどころ「いびつさ」を感じてしまう。「スーパーマン」を構築するために必要なギミック……「異世界人の侵攻」、「スーパーマンのピンチ」、「スーパーマンの圧倒的勝利」、「スーパーマンのお姫様抱っこ」それぞれをつなげるにしても、もう少しやりようがあったのではないか……そう思う人は多いだろう。ローレンス・フィッシュバーンが出てくるとどうしてもマトリックス的想起をしてしまうのは致し方ないところだけど。

しかし、この作品はまごうことなき「スーパーマン」であるし、とにかくMCU的スーパーマンを観たい!という観客の欲求には十分こたえていると思う。役者ひとりでここまで作品が成立するものなのか。そういう見方をするのもまたおつなものだ。暗い作風はひとまずガマンということで……。

「読後感」をしっかり与えるラストシーン。

そして本作の真骨頂はラストシーンに続く「戦いが終わった後」の描写。「アメリカの象徴」であるスーパーマンは、幼少時いったい誰の真似をしてマント遊びをしたのか……?

作品を楽しむには、「スーパーマン」がアメリカにとってどれほど偉大なヒーローか、を連想しながら鑑賞するのが大事かな、とも思う。そしてもし日本でスーパーマンに匹敵する偉大なヒーローが誰かと考えれば……多くの人は「孫悟空」と答えるだろう。ひるがえって「JCU」(ジャンプ・シネマティック・ユニバース)を期待する。その時はまさか孫悟空がハイスクール・ボーイになったりしないよね。まさかね76点。

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