【鬼滅の刃 柱稽古編第7話「岩柱・悲鳴嶼行冥」】
岩の訓練をこなした炭治郎を認める悲鳴嶼。
炭治郎がどれだけ固辞しても、悲鳴嶼は発言を取り消さない。
炭治郎にも負けない悲鳴嶼の頑なな態度の裏には、思わず絶句するほどの過去があった……
野生の勘で訓練を乗り越える男、伊之助
炭治郎は反復行動のおかげで岩を押すことが出来るようになった。
その姿を目撃した伊之助は野生の勘でコツを見抜く。
(伊之助)天麩羅! 猪突猛進!
あっという間に反復行動を身に着け、岩を押し始めてしまう。
自分だけまだ出来ていないと1人焦る善逸。そんな彼の元に、チュン太郎が手紙を持ってきた。
疑り深い悲鳴嶼、遂に炭治郎を認める
そしてついに炭治郎は岩を1町押すことに成功する。
彼の力強さを示すように、岩が通った後の地面には、炭治郎の足跡がくっきり残っていた。
ところが炭治郎は、深刻な脱水症状で倒れてしまう。
(炭治郎)善逸……伊之助……村田さん…………
力尽きる彼に水を与えたのは、悲鳴嶼であった。
(悲鳴嶼)岩の訓練を達成した。それに加えて、里での正しき行動……。私は君を認めよう
刀鍛冶の里にて、妹より村人を優先したことを悲鳴嶼は評価すると言うのだ。
しかし炭治郎はこれを即座に否定する。
(炭治郎)いいえ、違います。決断したのは禰津子であって俺ではありません。
自身は認められるどころか、決断を誤って村人を殺してしまうところだった。
炭治郎のまっすぐな目を見て、悲鳴嶼は炭治郎が特別な子であることを再認識する。
それでも自分を認めるなと言う炭治郎に対し、悲鳴嶼は自らの過去を語り始めた。
悲鳴嶼行冥の過去
(悲鳴嶼)(子供というのは純粋無垢で弱く、すぐ嘘をつき、残酷なことを平気でする我欲の塊だ……)
かつて悲鳴嶼は、寺で身寄りのない子供たちを育てていた。
寺に金はなく、毎日の食事はひもじいものばかり。それでも穏やかで、暖かい時間だった。
(悲鳴嶼)血のつながりこそなかったが、仲睦まじく、お互いに助け合い、家族のように暮らしていた……
しかしある日、悲鳴嶼の言いつけを守らず、夜まで帰ってこなかった少年がいた。
少年は鬼と遭遇し、自分が生き残るために鬼に取引を持ち掛ける。
寺に戻った少年は、鬼避けの藤の香を消してしまう。
(悲鳴嶼)言いつけを守らなかった子供は鬼と遭遇し、自分が助かるために寺にいた私と8人の子供たちを鬼に食わせると言ったのだ
寺にたどり着いた鬼はまず4人、子供を殺した。
飛び起きた悲鳴嶼は残りの4人を守ろうとする。しかし彼らの内3人は悲鳴嶼の背中から飛び出し、喉を掻き切られて死んだ。
残ったのは子供たちの中で最も幼かった紗代という少女のみ。
悲鳴嶼は彼女を守るため、鬼に飛び掛かる。取っ組み合って腕をもぎ、朝まで顔をなぐりつけた。
結局寺の生存者は悲鳴嶼と紗代の2人のみ。
しかし紗代は、寺に来た大人たちにこう言った。
(悲鳴嶼)『あの人は化け物。皆あの人が…………皆殺した』
鬼の死体は夜明けとともに消え、残ったのは子供の遺体と血みどろの悲鳴嶼のみ。
悲鳴嶼は投獄され、お館様が助けなれば、そのまま処刑される運命だったのだ。
悲鳴嶼の大きな優しさに包まれ、炭治郎涙する
悲鳴嶼は紗代を恨んではいないと言う。
ただ一言、ねぎらいと感謝の言葉が欲しかっただけ。
しかしその願いは見事に絶たれ、それから悲鳴嶼は本当に疑り深くなってしまう。
(悲鳴嶼)君のことももちろん疑っていた。普段どれほど善良な人間であっても、土壇場で本性が出る……
その悲鳴嶼の目から見ても、炭治郎は特別な子供だと思えた。
彼の過去を聞いて絶句していた炭治郎は、涙を流しながら認めてもらえたことに感謝する。
悲鳴嶼は手を伸ばし、炭治郎の頭をくしゃくしゃと撫でた。
かつて、紗代にやっていた頃のように。
様子のおかしい善逸
あくる日、伊之助・玄弥と共に食事をとる炭治郎。
悲鳴嶼の不器用な優しさは玄弥にもちゃんと伝わっていた。
(玄弥)悲鳴嶼さんも、なんだかんだでいい人なんだ
和やかな雰囲気の中、伊之助は囲炉裏に残る魚に手を伸ばそうとして叱られる。
(炭治郎)それは善逸の分だから駄目だよ!
善逸は数日前から様子がおかしい。
それは炭治郎が次なる柱・冨岡の元に行く時まで変わらなかった。
(善逸)……お前は本当にいい奴だよな、ありがとう。だけど。
これは絶対に、俺がやらなきゃ駄目なんだ
善逸の目は、真剣そのものだった。
水と風の激突
様子のおかしい善逸と、置いてきたままの禰津子を心配しつつ、炭治郎は次なる稽古場へ向かう。
そこでは、冨岡と不死川が呼吸を使用した真剣勝負を行っていた。
風のように俊敏に切りかかる不死川に対し、流れる水のようにするりと受け流す冨岡。
柱同時の闘いに目を奪われる炭治郎。
(炭治郎)でも……見える! 動きを追えるぞ!
炭治郎は柱稽古を通す中で成長してきたことを実感する。
打ち込みの手を一切緩めない2人。両者の呼吸がぶつかり合う。
そして、同時に木刀は折れてしまった。
(炭治郎)待った待った待ったァ~~! 殺しあっちゃいけませんよ!
慌てて間に入る炭治郎だったが、冨岡にこれは柱の柱稽古だったと教えられる。
炭治郎はてっきり、2人はおはぎの取り合いをしているのだと思っていたのだ。
思わぬ形で好物をばらされ、不死川の怒りは頂点に達する。
炭治郎の顔に不死川の右ストレートが直撃。彼は炭治郎がのびている間に帰ってしまった。
遂に見つかったお館様の居場所
夜、怒りを発散させたい不死川は稽古相手を探して練り歩く。
ところが今日に限って、伊黒も時透も席を外している。
階段を下りていた不死川は、背後を通り過ぎた『何か』を怒りに任せて握りつぶした。
(不死川)なんだァ……? これは……
彼の手で絶命していたのは、肆の目の化け物。
塵となって消えたそれを見て、不死川は直感した。
(不死川)侵入、された……!
お館様・鬼舞辻無惨、初対面
産屋敷邸にて。
門が開き、煙が屋敷内にあふれ出す。
煙の中には真っ赤な瞳が浮かんでいる。静まり返った敷地の中に、革靴の音がコツコツと響く。
そして、両者は対峙した。
(産屋敷)やあ 来たのかい。初めましてだね、鬼舞辻無惨
(無惨)なんと……醜悪な姿だな? 産屋敷

悲鳴嶼さんの過去。届かない紗代の本音が苦しい
脱水の炭治郎に水をかけつつ念仏を唱える悲鳴嶼さん。
「死んだ……?」と錯覚する炭治郎に笑ったのが随分前のことのように感じられる第7話。
悲鳴嶼さんの「紗代ちゃんにねぎらってほしかった」という願いに胸が張り裂けそうです。
その一言さえあれば、悲鳴嶼さんはきっとあの場で死んでも惜しくなかったのに。
自らが強いことを知らなかったというのも辛さを増しています。
日頃から強いことをアピールしていれば、子供たちは信じてくれたかもしれないのに。
辛すぎて何も考えられません。
さて、悲鳴嶼さんが人を信用できないきっかけとなってしまった紗代ちゃんですが、
単行本16巻のおまけにて、紗代ちゃんの本音が語られています。
家族同然の人が殺されたショックで、今も上手く話すことができない紗代ちゃん。
「あの人」とは悲鳴嶼さんを指す言葉ではなかったそうです。
彼女はあの日、本当はこう言いたかったはず。
「
あの人寺を訪れた鬼は化け物。皆あの人鬼が殺した」
しかし彼女はそれを上手く伝えられず、そのことを今なお後悔しているとのこと。
彼女の本当の言葉が悲鳴嶼さんに届く日が来ることを願ってやみません。
紗代について、彼女は隠として鬼殺隊に所属しているのではないかという考察があるようです。 ※動画は重大なネタバレを含みます!!

ネットの反応
チュン太郎が知らせを持ってきたということは……賑やかな善逸はもう見られないってこと?